2025/05/01 10:20
ロスフラワーの救済からはじめる自分との時間
YOUNは、生花店がプロデュースを行い、淡路島の工房にて製作を行っているインセンスブランドです。
ここでは、なぜ私たちが花を練り込んだお香を作り出すことになったのかを、お話させていただきます。
生花店を開業して以来、早八年以上の時が流れました。
できる限り長くいい状態で楽しんでいただける花をお客様にお届けしたいという思いから
品質を重視した仕入れを続けてきましたが、その一方でどうしても販売に至らず、廃棄せざるを得ない花が存在することも事実でした。
その量は、仕入れ全体の約三割。
まだ十分に美しい花々を処分せざるを得ないこの状況は、私たちにとって長らく心を痛ませ、頭を悩ませてきた問題でした。
多くの花の生産者とも、これまでそのような話の相談を重ねてきました。
すると、生産者側でもまたこの問題で頭を抱えているとのことでした。
雨の日も晴れの日もひたむきに丹精込めて育てた花が、
わずかな市場の需給のズレにより一箱分の送料にも満たない金額でしか売れず、
最終的には破棄を余儀なくされることもあるという厳しい状況に追い込まれることもあるとか。
そのように、生花店、市場のみではなく生産者の方々をも悩ませる現状を目の当たりにして芽生えた、
大切に育てた花々をできるだけ無駄にせず、何らかの形でお客様に届ける方法を見つけたいという思い。
そうして生まれたがYOUNです。
日々の喧騒の中、テーブルの上にそっと佇む小さな花。
その彩りは忙しい時間に一瞬の安らぎを、その香りは心に静かな潤いをもたらします。
それはほんのささやかだけれど、私たちにとって大切な心の栄養、花の持つ一番の醍醐味かもしれません。
お香もまた、花に通じるものがある存在だと感じています。
ゆらめく煙は、目には見えないけれど確かにそこに在る、時の流れのよう。
立ち昇る香りは、記憶の奥底をそっと呼び覚ますようです。
慌ただしい毎日の中でふと立ち止まり、お香の煙を見つめる時間。
それは、日常の騒がしさから静かに離れ、 自分自身と対話ができるような静謐な時間となるでしょう。
そして、花もお香もやがては形を変え、消えゆくもの。
けれど、その儚い存在の中に凝縮された美しさや香りは、私たちの心に深く刻まれます。
大切な人との別れの時にも、線香の煙に託す祈り、花に込める感謝の想い。形は失われても、その想いは確かに残ります。
今を生きる私たちへ。
役割を担い務めを果たす日々の合間に、お香の静かな煙を見つめ、その香りに身を委ねるひとときを。
忙しい毎日の中に、ふと立ち止まる静かな時間をお届けしたい。それが、私たちの願いです。